債務整理|小樽駅舎の改築に関わる損害賠償について

41
証人
証言

主文

1 本件各控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第1 当事者の求めた裁判

1 控訴人ら
(1) 原判決を取り消す。
(2) 被控訴人らは,小樽市に対し,連帯して7億0140万円及びこれに対する平成12年3月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3) 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人らの負担とする。
2 被控訴人ら
主文同旨

第2 事案の概要

次のとおり補正するほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」,「第3 争いのない事実」及び「第4 争点及び当事者の主張」に記載のとおりであるから,これを引用する。
1 原判決4頁20行目の「地方自治法」の次に「(平成14年法律第4号による改正前のもの。以下同じ。)」を加える。
2 同5頁14行目の「7億1700万円」を「7億0140万円」と改める。
3 同6頁13行目の「本件駅舎の建設についての公共上の必要性」を「本件区画整理事業において大型化,橋上化した本件駅舎を建設することについての公益上の必要性や鉄道事業一般の公益性」と改める。
4 同7頁6行目の「地方財政再建特別措置法」を「地方財政再建促進特別措置法」と,同頁15行目及び19行目の各「本件事業」を「本件区画整理事業」とそれぞれ改め,同頁12行目の末尾に改行して以下のとおり加える。
「そもそも,旧α駅の駅舎は既に耐用年数を大幅に超え,被控訴人JR北海道も建替えを検討しなければならない状況にあった。本件区画整理事業に深くかかわり,その事業により相当の利益を上げることが予想されていた被控訴人JR北海道としては,鉄道事業を行うための基本的な設備投資としてその大型化,橋上化を自らの事業として行うことが十分に可能な状況にあった。また,小樽市は,β広場に旧α駅の駅舎用地を組み入れさえすれば,土地区画整理法77条によって旧α駅の駅舎を移転させることができ,その場合にはほとんど無価値に等しい建物の再取得価格の移転補償費を支払うだけで済ませることができたのである。」
5 同8頁1行目の「厳しい状況にあった」を「厳しい状況にあり,本件無償譲渡をする財力の余力はなかった」と,同頁5行目の「本件事業」を「本件区画整理事業」とそれぞれ改める。
6 同9頁10行目及び17行目の各「本件事業」を「本件区画整理事業」と改める。

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第3 当裁判所の判断

当裁判所も,控訴人らの請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は,次のとおり補正するほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第5 判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。
1 原判決10頁2行目から12行目までを以下のとおり改める。
寄附又は補助について定める地方自治法232条の2の規定は「第9章 財務」の「第4節 支出」の中にあり,同節中の他の規定は金銭の支出についてのみ定めるものであること,普通財産の譲与については用途を定めることができ,その用途に供しないときは契約を解除することができる(地方自治法238条の5第6項,第5項)など金銭の寄附とは異なる面があることに照らすと,普通財産の譲与は地方自治法「第9章 財務」の「第9節 財産」の規定に服するのみで地方自治法232条の2の規定の適用はないものと解するのが相当である。
なお,このように解したとしても,寄附又は補助金については,個別の案件毎に議会が議決するわけではないのに対し,普通財産の譲与については条例又は議会の議決が必要とされており(地方自治法237条2項),個別の案件毎に議会がその必要性等について審議を行い,その可否を決するのであるから,首長が恣意的に譲与を行うことはできず,地方自治法232条の2の趣旨が没却されることにはならないというべきである。
そして,本件駅舎は小樽市の普通財産であるところ,乙イ第23号証,乙ロ第7号証,第8号証によれば,小樽市議会は,平成10年12月24日,本件無償譲渡について所要の審議を経たうえ議決したことが認められる。
(2) 公益上の必要性について
なお,事案に鑑み,本件無償譲渡に地方自治法232条の2が適用されるとの解釈を前提に,同条が定める公益上の必要性があったか否か判断する。
2 同12頁18行目の末尾に以下のとおり加える。
「(被控訴人JR北海道の対応が(ア)のとおりのものであったのであるから,本件無償譲渡をしなければ被控訴人JR北海道の協力は得られず,本件駅舎は駅舎として使用されないこととなり,いわば宝の持腐れとなるのであるから,本件無償譲渡自体に公益上の必要性があったことは明らかである。
なお,控訴人らは,旧α駅の駅舎用地を本件区画整理事業用地に組み入れれば,被控訴人JR北海道に移転補償費を支払うだけですんだ旨主張するが,控訴人ら主張のように旧α駅を移転させることとしても,被控訴人JR北海道が小樽市の計画に沿うような新駅を設置するとは限らないのであるから,控訴人らの主張は理由がない。)」
3 同12頁25行目の「被告JR北海道」を「東日本旅客鉄道株式会社」と,同13頁4行目の「地方財政再建特別措置法」を「地方財政再建促進特別措置法」と,同頁8行目の「総務」から同頁10行目の「ないこと」までを「自治大臣の承認を得た事実を認めるに足りる証拠はない(ただし,乙イ第28号証によると,自治大臣の承認を得る必要がないというのが自治省財政局指導課の見解であったことが窺われる。)こと」とそれぞれ改める。
4 同15頁12行目の「本件区画整理事業により」の次に「既存の自営業者等に」を加え,同頁20行目の「本件事業」を「本件区画整理事業」と改める。
5 同16頁5行目の「乙第4号証」を「乙イ第4号証」と,同頁10行目の「本件事業」を「本件区画整理事業」とそれぞれ改め,同頁18行目の「第29号証」の次に「,第34号証,第36号証,乙イ第29号証」を加える。
6 同頁20行目の「厳しい状況にあった」の次に以下のとおり加える。
「(本件無償譲渡がされた平成10年度の小樽市の一般会計実質収支<歳入歳出差引額から翌年度繰越財源を差し引いたもの>は3億6117万6000円の黒字であったが,これから繰越金を除いた一般会計単年度収支は1億2599万5000円の赤字であった。
また,財源に余裕がある年度に積み立て,翌年度以降,財源が著しく不足する際に取り崩して運用する財政調整基金積立金についてみると,平成6年度から平成11年度までは残高が0であったが,平成12年度には約4億8000万円が積み立てられ,借入金の返済に充てるための減債基金についてみると,平成12年度まではほぼ一定の残高を有していた。
さらに,地方債現在高についてみると,平成3年度以降増加を続け,平成11年度は約769億円とピークを迎えたが,その後は少額ではあるが減少しており,債務負担行為額も平成6年以降は減少傾向にある。
控訴人らは,小樽市には本件無償譲渡をするだけの財力の余力はなかった旨主張するが,上記のような財政状況からすると本件無償譲渡をする財力の余力がなかったとまでいうことはできない。)」を加える。
7 同頁21行目の「7億1700万円」を「7億0140万円」と改める。
8 同17頁4行目の「財政」の次に「(ただし,本件無償譲渡をする財力の余力がなかったとまでいうことができないことは上記説示のとおりである。)」を加え,同行目の「7億1700万円」を「7億0140万円」と改め,同頁14行目から20行目までを以下のとおり改める。
「なお,乙イ第28号証,証人aの証言及び控訴人b本人尋問の結果に弁論の全趣旨を合わせると,本件区画整理事業が行われていた当時,被控訴人JR北海道は被控訴人OBCの2番目の大株主で,被控訴人JR北海道の会長が被控訴人OBCの会長に,被控訴人JR北海道の役員が被控訴人OBCの役員に就任していたなど,被控訴人JR北海道と被控訴人OBCとの間には密接な関係があり,また,本件区画整理事業は被控訴人らの緊密な連携の下に遂行されていたことが認められるから,被控訴人OBCは小樽市と被控訴人JR北海道との間で本件無償譲渡の合意がされていることを認識していたと推認することができるが,被控訴人OBCは本件無償譲渡の当事者ではなく,本件無償譲渡に係る意思決定に関与すべき立場にないということができるし,被控訴人JR北海道と被控訴人OBCの役員を兼務していた者が,被控訴人OBCの役員としての立場で本件無償譲渡について関与したことを認めるに足りる証拠はないから,上記認定の事実をもって直ちに被控訴人OBCがそれ自体として本件無償譲渡について被控訴人JR北海道らと共謀したと認めることはできない。」

第4 結論

よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主
文のとおり判決する。

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